はじめに
昨今、インターネットなどで痩身効果などを強調する多くの宣伝広告を見ることがあります。また、新型コロナウイルス感染症に関する除菌グッズなど、日常お世話になっているような製品について、消費者庁が景品表示法(正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」)違反として措置命令を行う報道に接します(これらのいくつかの事例については、また機会を改めて論じたいと思います)。
そこで、景品表示法に違反する行為を行った場合、どうなるのか、どうすればよいのか、について解説したいと思います。
措置命令
消費者庁は、消費者からの通報や国民生活センターからの情報提供などを通じて、景品表示法に違反する不当表示や、過大な景品類の提供を知ることになります。
景品表示法における不当表示(法5条)としては、商品やサービスについて、実際のものよりも著しく優良であることを示す優良誤認表示、商品やサービスの価格や取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であることを示す有利誤認表示などが挙げられます。
消費者庁は、これらの不当表示行為に関する関連資料を収集したり、事業者に事情聴取をしたりして、調査を行います。
調査の結果、違反と判断すると、消費者庁は、事業者に対し、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命じます。これを、措置命令といいます。なお、違反の程度が大きくない場合、違反のおそれにすぎない場合などには、行政指導がなされます。
課徴金納付命令
事業者が優良誤認表示や有利誤認表示といった不当表示をした場合、消費者庁は、事業者に対し、課徴金の納付を命じます(課徴金納付命令)。課徴金の額は、違反事業者の、対象となる表示行為をしていた期間の違反対象商品・サービスの売上額の3%とされていますが、売上が5000万円に満たない場合は課されません(景品表示法8条1項)。また、違反行為を止めて5年以上前の表示には課されません(同12条7項)。
図にすると、以下のとおりです(消費者庁HPより)。
違反と言われた場合どうすればよいのか?
景品表示法違反として調査を受けた事業者はどうすればよいのでしょうか?
調査を受けている事業者にとっては、行政側がどのような証拠を集めて、どのような判断をしようとしているのかが分からないことがあります。深刻な事態になりそうだと判断した段階で、早期に専門家を伴って調査に臨み、担当官に問いかけていくことが必要となります。
また、上の図のとおり、事業者には、行政手続法上、処分に先立って、弁明の機会の付与という手続きが認められており、事業者は、通常は弁明書という書面とそれを裏付ける証拠を出して、表示に至った理由や表示が違反していない旨の弁明を行います。その際に、消費者庁から、予定される措置命令の内容が通知されますので、これに反論するような形になります。
消費者庁の判断内容に不服がある、意に反する処分が出されそうだ、という場合には、どうすればよいのでしょうか?
これについては、事業者がとることのできる手段が、何通りかありますので、次回、整理してみたいと思います。
(加筆)
これまで、景品表示法の違反事例については、セミナーなどを通じてご紹介する機会を何度かいただいてきました。
引き続き景品表示法問題については研究を深めているところです。
景品表示法の問題について、関心やご質問のある事業者の方、広告に関与されている方は、LINE相談窓口を作ってみましたので、ご活用ください。
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(執筆:弁護士 永井秀人)