過大な景品類の提供の禁止について
過大な景品類の提供の禁止について、どのような規制内容なのでしょうか。簡単に触れたいと思います。
過大な景品類の提供の禁止は、豪華すぎるおまけの提供を過大景品として禁止するものです。本体商品に比べておまけが豪華すぎると、射幸心をあおり、真っ当な商取引をゆがめてしまうとして、規制されているのです。
景品類とは顧客を誘引するための手段として取引に付随して提供する経済上の利益であって、内閣総理大臣が指定するものをいいます。経済上の利益であればなんでもあり得るため、景品、クーポン、割引券、ポイント、サービスといった名称は問いません。また、内閣総理大臣が指定するものとは、定義告示といわれるものです。そこでは、「正常な商慣習に照らして値引又はアフターサービスと認められる経済上の利益」と「正常な商慣習に照らして当該取引に係る商品又は役務に附属すると認められる経済上の利益」は、景品類に含まれないとされています。
景品の種類は
1.一般懸賞
2.共同懸賞
3. 総付景品(懸賞によらない景品類の提供)
に分かれており、各々について規制があります。
また、歴史的に見て景品類がつけられることが多い特定の業種における景品類の規制もあり、新聞業・雑誌業、不動產業、医療用医薬品業等については別途規制もあります。
オープン懸賞といって、商品を買ったり、サービスを利用することなく、誰でも応募できる懸賞は、取引に付随して提供するものではないため、景品表示法の規制の対象ではありません。ただ、取引に付随している可能性があれば、規制対象となりますので、注意が必要です。
1. 一般懸賞
商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供するものをいいます。例えば、抽せん券、じゃんけん等、当たり商品、クイズ等の解答、競技・遊技等の優劣によって提供するものがあります。
以下の図のとおり、取引価額ごとに提供しても良い景品類の最高額が定められています。
取引価額 |
景品類の最高額 |
1000円未満 |
200円 |
1000円以上 |
取引価額の20% |
2. 共同懸賞
商店街や一定の地域内の同業者が共同して行う懸賞をいいます。ショッピングモールの店舗が、歳末セール、クリスマスセールなど共同で実施するような景品類の提供です。なお、この場合、年3回、年通算70日までにしなければなりません。
以下の図のとおり、提供される景品類については、最高額と総額のそれぞれで限度額が定められています。
最高額 |
総額 |
取引価額に関わらず30万円 |
懸賞に係る売上予想総額の3% |
3. 総付景品
商品の購入者や来店者(全員、先着順など)に対し、もれなく行う景品類の提供をいいます。
対象者全員にわたるものとはいえ、懸賞に係る取引価額ごとに、以下の図のとおり、景品類について、最高額と総額のそれぞれで限度額が定められています。
懸賞に係る取引価額 |
最高額 |
総額 |
5000円未満 |
取引価額の20倍 |
懸賞に係る売上予想総額の2% |
5000円以上 |
10万円 |
近年の問題
景品かどうかが問題になることが近年問題になることがあります。
コンプガチャ
例えば、オンラインゲームの”コンプガチャ”については、カード合わせという懸賞景品の一種として規制されるケースがあります(リンク)。
ポイント・マイレージ
ポイントカードやマイレージは、商品やサービスの購入者に対し、ポイントやマイルを、次回以降の買い物の際、支払いの一部に充当できるようにする仕組みですが、これらは、取引通念上妥当と認められる限り、自己との商品・サービスの取引における値引であり、景品表示法上の景品類には該当しません。
ただ、ポイントやマイルが、自己のみならず、他店と共通となる場合(ショッピングモール共通ポイントとか)は、値引にはなりません。景品類の提供に該当します。
ただ、自店・他店で共通して使用できる同額の割引となるものは、正常な商慣習に照らして適当と認められるものであれば、総付告示により、総付景品規制は適用されないとされています。
もちろん、懸賞でポイントやマイルが与えられるような場合には、懸賞に関する規制(懸賞告示)が適用されます。